あせも(汗疹)の原因、知ってる?―炎症の原因を知って対策を取りましょう!
2016/7/155104
気温が上がってくると悩む方が増える症状に「あせも(汗疹)」があります。
あせもにほとんどならない大人の方は、「あせも=子供の皮膚疾患」と思われている場合もあるようですが、実際は年齢に関わらず、煩わされている方が多数いらっしゃいます。そこで、あせもの原因と対策方法について、以下にご説明します。
※ここでは、日本国内で一般的に「あせも」を指す「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」についてのみ触れます。
◆原因1:多量の汗
「あせも」と聞いて一番思いつきやすい原因に、「汗」が挙がります。この汗は、当然ながら高い気温や運動時に多く分泌されます。ただし、病気の症状のひとつとして「多量の汗が出る」場合もあり、注意が必要です。
体温調節時に出る汗は、皮膚の真皮にある「エクリン腺」という汗腺で造られる体液です。その汗が一時に多量に分泌されると、汗腺から肌表面へとつながる「汗の通り道」である「汗管(かんかん)」が詰まってしまいます。
外に出るための通り道が詰まれば、排出されない汗が汗管内でどんどんと溜まってしまいます。すると、肌の内部で、溜まった汗の成分が周りの組織に染みでて、炎症を起こし、赤くかゆみのあるブツブツとなります。これが「汗疹」と書く、あせもの正体です。
◆原因2:蒸れ(ムレ)
あせもが出来やすい場所――「肘・膝の内側(曲げた時に密着する箇所)」、「下着が密着する部分」、「頭皮」、また通気性の悪い衣類を着用することで「背中」などは、「体温+汗」がこもり、いわゆる「高温多湿」になりやすい部分でもあります。
そのため原因1と同じく、汗管が詰まってしまい、肌内部の組織に汗が染みでて炎症を起こしてしまうのです。
◆原因3:免疫力の低下
肌には本来、外部刺激への「バリア機能」が備わっています。しかし紫外線や摩擦、ストレス、睡眠不足、栄養の偏りなど、様々な要因により、肌の免疫力が落ちている可能性があります。
その場合、特別に多く汗をかいていなくても、肌が過敏に反応して炎症を起こしてしまうのです。
◆あせも対策
原因1,2に対する対策は、「汗をよく拭く」「よく洗い流す」「すぐに着替える」ことが有効です。基本的ではありますが、汗管を詰まらせないために、余分な汗を肌表面に残さないように注意する事が重要だからです。
なお、汗を拭く際は、出来れば「濡れタオル」で、こするのではなく「押さえる」ようにふき取りましょう。
原因3の場合は、原因が特定できないため、生活習慣から見直して頂く必要があります。
また、元々アトピー性皮膚炎などの体質により、肌の免疫力やバリア機能が弱い方は、症状が悪化する前に受診されることをオススメします。
さらに、汗を取り除こうとしすぎて「肌の乾燥」を招いているケースもあります。乾燥は細胞同士の間にスキマを作り、細胞自体ももろくなりがち。そのため少しの刺激で「炎症」や「かゆみ」が引き起こされる悪循環を生みます。夏でも全身「保湿ケア」を、しっかりと行うようにしましょう。
◆掻くのはご法度
あせもを掻きむしると、肌にいる「黄色ブドウ球菌(おうしょくぶどうきゅうきん)」が増えてしまいます。その「黄色ブドウ球菌」がついた手(爪)で別の部位を掻くと、どんどんと炎症が広がり、「トビヒ」になります。
※黄色ブドウ球菌:健常な肌の場合は、真菌などにより「黄色ブドウ球菌」は繁殖せず、ほぼ存在しません。しかしアトピー性皮膚炎など、免疫力の弱い肌の場合は、(外見上炎症がない時でも)存在しています。
あせもに限らず、かゆみ・炎症部分は掻かず触らず、清潔にすることが肝心です。しばらくしても治らない場合は、「たかがあせも」と侮らずに、悪化し完治しにくくなる前に受診してくださいね。